遺族年金とは?受け取れる期間や条件、金額は?さらに2025年の改正についても解説

法律

こんにちは。さきです。
今回は遺族年金についてお話します!

「もし配偶者が亡くなった場合、自分は遺族年金を受け取れるの?いくらぐらい受け取れるの?」と心配になる方は多いのではないでしょうか。

この記事では、遺族年金を受け取れる期間や受け取るための条件、金額などを解説します。
具体例なども出して分かりやすく説明するので、ぜひ参考にしてください!

遺族年金とは?

遺族年金とは、国民年金や厚生年金の加入者が亡くなった場合に、遺族に支給される年金です。
なお、亡くなった人の年齢や状況によって支給される期間や金額などが異なります。

遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があり、亡くなった人によって生計を維持されていた遺族が受け取れます。

年金は、1階部分の国民年金と、2階部分の厚生年金に分けられています。
国民年金は、20歳~60歳未満のすべての日本国民が加入します。厚生年金は、会社員や公務員などのサラリーマンが加入する制度で、国民年金に上乗せして支払います。

遺族基礎年金

遺族基礎年金は、国民年金に加入していた人が亡くなったときに、子供のいる配偶者子供が受給できる年金です。

ここでいう「子供」とは、
・18歳になった年度の3月31日までの子供
・20歳未満で障害年金の障害者等級1級または2級の子供   のいずれかを指します。

ただし、子供のいる配偶者が遺族基礎年金を受け取っている間は、子供は遺族基礎年金の受給対象になりません。つまり、遺族基礎年金は配偶者と子供のどちらか一方しか受け取ることができないのです。

遺族厚生年金

遺族厚生年金は、厚生年金保険に加入している人(会社員や公務員)が亡くなったときに、
子供のいる配偶者、②子供、③子供のいない配偶者、④父母、⑤、⑥祖父母が受給できる年金です。

上記の順番で受け取ることができ、亡くなった人に妻子がいる場合は、妻が受給対象となります。
この場合も、「子供のいる配偶者」が遺族厚生年金を受け取っている間は、「子供」には支給されません。
また、遺族が子供のいない30歳未満の妻は、受給期間が5年間に限られるという制限があります。
さらに、夫が遺族厚生年金を受け取るには、妻が亡くなった時点で夫が55歳以上であり、60歳から受給開始となります。

なお、ここでいう「子供」も、遺族基礎年金と同様、
・18歳になった年度の3月31日までの子供
・20歳未満で障害年金の障害者等級1級または2級の子供  のいずれかを指します。

 遺族年金を受給できる期間

実際、どれだけの期間、遺族年金を受給できるのでしょうか。
ここからは、遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給期間を詳しく見ていきましょう。

遺族基礎年金を受け取れるのはいつまで?

遺族基礎年金を妻が受け取る場合、受給期間は、すべての子供が18歳に到達する年度末(3月末)までです。
なお、子供が受け取る場合は、その子供本人が18歳に到達する年度末までです。

ただし、障害者等級1級または2級の子供がいる場合は、その子供が20歳を超えるまでとなります。

遺族厚生年金を受け取れるのはいつまで?

遺族厚生年金の受給期間は、配偶者の年齢や子供の有無によって異なります。

妻が遺族厚生年金を受け取る場合、妻に子供がいる場合または妻が30歳以上の場合は、亡くなった日の翌月から一生涯遺族厚生年金を受給できます。
ただし、夫の死亡時に、妻が30歳未満かつ子供がいない場合、受給期間は亡くなった日の翌月から5年間となります。

子供が受け取る場合は、子供本人が18歳に到達する年度末までです。
ただし、障害者等級1級または2級の子供がいる場合は、その子供が20歳を超えるまでとなります。

ただし、2025年以降により、遺族年金制度の男女差を無くすため、男女ともに年齢に関わらず有期給付とする方向に改正が進もうとしています。
現行、子供がいない30歳以上の妻は遺族厚生年金が一生涯給付されますが、2025年以降は、支給期間が5年間に限定される可能性があります。

遺族年金を受け取る条件

30代で遺族年金を受け取るには、一定の要件を満たす必要があります。

年金を受け取るには、亡くなった人に「生計を維持されていた」ことが必要です。具体的には、遺族は、前年の収入が850万円未満(所得が655万円5,000円未満)である必要があります。

遺族基礎年金と遺族厚生年金のそれぞれの受給要件を詳しく解説していきます。

遺族基礎年金を受け取る条件

遺族年金の受給要件は、以下の2つを両方満たす必要があります。
・亡くなった人が国民年金に加入していたこと
・亡くなった人が死亡日前日の時点で、死亡した月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

基本的に、亡くなった人がきちんと保険料を支払っていれば問題ありませんが、仮に長期間の未納があると要件を満たさない可能性があるので注意しましょう。

遺族厚生年金を受け取る条件

遺族厚生年金の条件は以下の4つがあり、いずれかを満たす必要があります。

・亡くなった人が会社員または公務員で厚生年金に加入していたこと
・厚生年金に加入している間に病気や怪我などが原因で厚生年金の資格を喪失し、その初診日から5年以内に亡くなったこと
・亡くなった人が障害厚生年金1級または2級を受給していたこと
・老齢厚生年金の受給権者だった人、または受給資格を満たした人が死亡したとき

遺族厚生年金と同様、亡くなった人が死亡日前日の時点で、死亡月の前々月までの1年間に保険料の未払いがないことが要件です。
ほとんどの会社員や公務員は保険料が給料天引きのため、未納していることは可能性は低いでしょう。しかし、勤続期間が短かった人は要件を満たしていない恐れがあるため事前に確認しておくとよいでしょう。

遺族年金の受給金額

実際に、遺族年金をいくら受け取れるのでしょうか。

ここからは、受給できる金額の目安や計算方法について詳しく解説していきます。

遺族基礎年金の受給金額

2024年度の遺族基礎年金の受給額は、一律81万6,000円であり、これに子供の加算額が加わります。
子供が2人までは1人当たり23万4,800円、3人目以降は1人当たり7万8,300円が加算されます。

子供の人数によって受給できる遺族厚生年金の金額は以下のとおりとなります。

子供の人数受給できる金額
1人 105万800円(81万6,000円+23万4,800円)
2人128万5,600円(81万6,000円+46万9,600円)
3人136万3,900円(81万6,000円+46万9,600円+7万8,300円)

4人目以降も、子供の人数が増えるごとに7万8,300円ずつ加算されてます。

遺族厚生年金の受給金額

遺族厚生年の受給額は、以下の計算式で算出できます。

平均標準報酬月額(※1)×1000分の7.125 ×(平成15年3月以前の加入月数)= a
平均標準報酬額(※2)×1000分の5.481×(平成15年4月以降の加入月数)= b
(a+b)×4分の3=遺族厚生年金の受給額(年額)

(※1)「平均標準報酬月額」は、平成15年3月以前に被保険者であった期間の「標準報酬月額の
     合計」を「被保険者期間であった期間の月数」で割った金額です。
(※2)「平均標準報酬額」は、平成15円4月以降に被保険者であった期間の「標準報酬月額の合計と 
     標準賞与額の総額」を「被保険者期間であった期間の月数」で割った金額です。

また、亡くなった人の厚生年金の加入期間が300カ月(25年間)未満の場合は、一律300カ月とみなして計算できるというルールがあります。

遺族年金の受給金額のシミュレーション

まず、30歳の夫が亡くなり、妻に18歳未満の子供が2人いるケースで考えてみましょう。
夫は平成27年から厚生年金に加入しており、平均標準報酬額が30万円だったとします。

まず、子供が2人なので、遺族基礎年金は128万5,600円です。
平均標準報酬額×1000分の5.481×(平成15年4月以降の加入月数)÷3/4の計算式に当てはめると、
(30万円×5.481/1000×300日)×3/4 =36万9,967円が遺族厚生年金の年間支給額となります。
つまり、128万5,600円+36万9,967円 =165万5,567円がトータルの遺族年金の年間支給額です。

次に、50歳の夫が亡くなり、妻に18歳未満の子供1人がいるケースで考えてみましょう。
夫は平成10年4月から会社員として勤め、厚生年金に加入し、令和6年3月に亡くなったとします。
また、亡くなった夫の平均標準報酬月額は30万円、平均標準報酬額は40万円だったとします。

まず、子供が1人なので、遺族基礎年金は81万6,000円です。
平均標準報酬月額の期間(平成15年3月まで)は72カ月、
平均標準報酬額の期間(平成15年4月以降)が252カ月となります。

平均標準報酬月額×1000分の7.125 ×(平成15年3月以前の加入月数)= a
平均標準報酬額×1000分の5.481×(平成15年4月以降の加入月数)= b
(a+b)×3/4=遺族厚生年金の年間受給額 の計算式に当てはめると、

平成15年3月まで:30万円 × 7.125/1000 × 72カ月 = 15万3,900円 
平成15年3月以降:40万円 × 5.481/1000 × 252カ月 = 55万2,484円
(15万3,900円 + 55万2,484円)×3/4=52万9,788円

つまり、このケースでは、妻は81万6,000円+52万9,788円=134万5,788の遺族年金を受け取れます。

ただし、これらはあくまで目安であり、条件によって受給額は異なります。
正確な厚生年金受給額を知るには複雑な計算が必要なので、年金事務所や社会保険労務士などの専門家に確認するのがよいでしょう。

まとめ

遺族年金は、個々の状況によって受給期間や受給金額が異なります。
また、受給金額の計算方法はとても複雑なので、個人で正確に算出するのは難しいでしょう。

自分が受給要件を満たしているのか、いくら受け取れるのかを知りたい場合は、お近くの年金事務所や、社会保険労務士などの年金に詳しい専門家に確認することをお勧めします。

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