こんにちは。さきです。
今回は、相続不動産を売ったときの税金についてお話します!
相続した不動産の売却するとき、「税金はいくらかかるのか」「少しでも税金を減らしたい」と考える方は多いのでは?
この記事では相続した不動産を売却した場合にかかる税金に解説します。
具体的にどのような税金がかかるのか、税制上の特例制度、売却にあたっての注意点なども詳しく説明するので、ぜひ参考にしてください!
相続した不動産を売却したときにかかる税金
相続した不動産を売却した場合にかかる税金は、主に以下の4つです。
・相続税
・登録免許税
・譲渡所得税
・印紙税
ここからは、それぞれの税金について詳しく見ていきましょう!
相続税
相続税は、親族が亡くなって相続した財産に課される税金です。
相続税には、基礎控除額という非課税枠があり、3,000万円+(600万円×法定相続人の人数)で計算されます。つまり、相続財産から基礎控除額を差し引いた部分に課税されます。
具体例を見てみましょう。
亡くなった夫に妻と子供が3人いた場合、
3,000万円+(600万円×3人)で、基礎控除額は4,800万円です。
亡くなった夫の相続財産の総額が6,000万円だったとすると、
6,000万円から4,800万円を差し引いた1,200万円に相続税が課されることになります。
登録免許税
登録免許税は、不動産の登記申請をするときにかかる税金です。
不動産の相続が発生した場合、亡くなった人から相続人の名義に変更するための登記申請が必要です。
その際に法務局に登録免許税を支払います。
登録免許税は、不動産の課税標準額×2%で算出されます。
例えば、不動産の課税標準額が2,000万円の場合、2,000万円×2%で40万円が登録免許税となります。
不動産の課税標準額とは、固定資産評価額を計算するときに基準になる額のことで、基本的に課税標準額と評価額は同じと考えて問題ありません。ただし、課税標準の特例措置等があるため評価額よりも低くなることがあります。
譲渡所得税
譲渡所得税は、不動産を売却して得た利益に課される税金です。
譲渡所得税の税率は、不動産を所有した期間によって違います。
売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合は短期譲渡所得となり税率は39%、1月1日時点で所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得となり税率は20%です。
また、譲渡所得は、収入金額-(取得費+譲渡費用)で計算します。
※「収入金額」は、相続した不動産を売却して得た収入のこと
※「取得費」は、亡くなった人がその不動産を購入した時の購入金額や手数料、相続人がその不動産を相続した際にかかった費用など
※「譲渡費用」は、相続した不動産を売却するために要した費用のこと。例えば、仲介手数料や測量費など。ただし、不動産の維持管理費や修繕費は譲渡費用に含まれないので注意が必要。
具体例を見てみましょう。
収入金額が4,000万円、取得費が3,000万円、譲渡費用が100万円だった場合、
4,000万円−(3,000万円+100万円)で900万円に譲渡所得税がかかることになります。そして所有期間3年間だったとすると、900万円×39%で351万円が譲渡所得税となるのです。
印紙税
印紙税は契約書などの文書にかかる税金です。
印紙税法上、不動産の売買契約書に印紙税がかかります。
不動産の売却金額によって印紙税の金額は異なりますが、売買契約書に必要な額の印紙を貼り付けと消印が必要です。
例えば、3,000万円の不動産を売却した場合は、売買契約書に2万円(軽減税率適用時は1万円)の印紙が必要です。
相続した不動産を売却するときに使える特例
相続した不動産を売却する際、特例や控除制度が適用されることがあります。
代表的なものとして以下の5つがあります。
・相続した不動産を3年以内に売却するときの特例
・自宅を売却するときの控除
・空き家を売却するときの控除
・10年以上所有した自宅を売却するときの軽減税率の特例
・居住用の不動産を買い換えるときの特例
ここからは、それぞれの特例や控除の内容を詳しく解説します。
相続した不動産を3年以内に売却するときの特例
相続税の申告期限の翌日から3年以内に、相続した不動産を売却した場合、「取得費加算の特例」が適用されます。
先述したとおり、譲渡所得税は、収入金額-(取得費+譲渡費用)×税率で算出されます。
この取得費加算の特例が適用されると、「取得費」に相続税の一部が加算されます。
取得費の額が大きくなるため、譲渡所得税を節税できるのです。
なお、取得費に加算できる額は、相続税×不動産の相続税評価額÷(相続した全体の課税額+債務控除)で計算されます。
この特例を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。
・相続税の申告期限の3年以内に相続不動産を売却すること
・相続不動産を売却するのが、相続を受けた本人であること
・不動産を相続するにあたって相続税が課税されること
ただし、後述しますが、空き家を売却するときの3,000万円控除の制度と併用できません。
どちらの制度を利用するのがよいかよく検討する必要があります。
自宅を売却するときの控除
個人がマイホームを売却したときに、譲渡所得から最大3,000万円控除できる制度があります。
譲渡所得3,000万円までは譲渡所得税がかからないので、大幅に節税することができます。
ただし、譲渡所得が3,000万円以下だとこの控除制度は適用できません。
この控除制度を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。
・居住している家屋であることまたは居住しなくなってから3年以内であること
・前年または前前年にこの特例または買い替え特例を受けていないこと
・親族以外の第三者に売却すること
居住用の家を売却するというのが大きなポイントで、相続人が亡くなった人と同居していたケースでもこの制度を利用できます。
一方で、事業用や別荘等で使用されていた家屋は対象外となるので注意が必要です。
空き家を売却するときの控除
相続した空き家を売却した場合にも、譲渡所得から最大3,000万円控除される制度を利用できます。
ただし、この控除制度は条件が厳しく、以下の条件を全て満たす必要があります。
・相続開始日から3年を経過した年の12月31日までに売却すること
・不動産の売却代金が1億円以下であること
・親族以外の第三者に売却すること・売却する不動産自体が1981年5月31日以前に建てられたこと
・一定の耐震基準を満たしていること
・相続開始から売却までの間に居住や賃貸、事業などの用途で不動産を使用していないこと
また、先述したとおり、この控除制度と取得費加算制度は併用できないので注意しましょう。
10年を超えて所有した自宅を売却するときの軽減税率の特例
10年を超えて所有した家屋を売却する場合、軽減税率の特例を利用できます。
10年を超えて家屋を所有していた場合、長期譲渡所得の税率がさらに引き下がるため、譲渡所得税を大幅に節税できます。
この特例は6,000万円が区切りとなり、譲渡所得が6,000万円以下の部分は譲渡所得税の税率が14%、譲渡所得が6,000万円を超える部分の税率は20%です。
この控除制度を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。
・売却した年の1月1日時点で不動産の所有期間が10年を超えていること
・居住している家屋であることまたは居住しなくなってから3年以内であること
・前年または前々年にこの特例を受けていないこと
・親族以外の第三者に売却すること
居住用の不動産を買い換えるときの特例
居住用の不動産を買い換える場合にも、利用できる特例があります。
この買い替え特例は、旧住宅を売却した利益には譲渡取得税が課税されず、買い替えた新住宅を売却する際に課税されるというものです。
つまり、譲渡取得税の課税を、新住宅の売却時まで先延ばしできるのです。
この控除制度を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。
・旧住宅を売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超え、さらに居住期間が10年以上であること
・旧住宅を2025年12月31日までに売却すること
・旧住宅の売却代金が1億円以下であること
・旧住宅を売却した年の前年の1月1日から売却した年の翌年12月31日までの間に新住宅を購入し居住すること
・新住宅の床面積が50㎡以上で土地の面積が500㎡以下であること
・新住宅が一定の耐震基準を満たし尚且つ築年数が25年以内であること
なお、買い替えの特例は、居住用の家屋を売却する際の3,000万円特別控除と併用できないので注意しましょう。
特例制度を利用する場合の注意点
特例や控除を利用するときは以下の2点に注意が必要です。
・特例制度の適用に期限がある
・特例制度を併用できない場合がある
ここからは、それぞれの注意点について詳しく解説します。
特例制度の適用に期限がある
1つ目の注意点は、相続した不動産を売却する際の特例制度には期限があることです。
例えば、取得費加算の特例の場合は、相続税の申告期限の翌日から3年を経過する日までに不動産を売却する必要があります。
また、相続した空き家を売却する場合も、相続が開始した日から3年を経過する年の12月31日までに不動産を売却する必要があります。
いずれの場合も売却期限は3年が目安であり、期限を過ぎてしまうと特例を受けられなくなります。
必ず期限を意識しながら手続きを進めることが重要です。
特例制度を併用できない場合がある
2つ目の注意点は、特例制度を併用できる場合とできない場合があることです。
相続した空き家を売却した場合の控除制度と取得費加算の特例を併用することはできません。
また、居住用の家屋を売却した際の最大3,000万円特別控除と、買い替える際の特例制度の併用も不可です。
どの特例であれば併用できるのか、併用できない場合はどちらを利用するのが良いか、よく検討するのがとても重要となります。
相続した不動産を売却する税制上のメリット
これまで紹介したとおり、相続した不動産を売却すると、さまざまな特例や控除制度によって節税できます。
また、固定資産税の面でもメリットがあります。
不動産を相続した人には、固定資産税の納税義務が生じます。そのため、相続人に負担が生じることがあるのです。
不動産を売却して手放すことで、固定資産税の納税義務から解放されるのもメリットの1つです。
また、相続した戸建てを放置していた場合、自治体から放置していていると周囲へ保安上・衛生上の問題あるとして「特定空き家」に指定される可能性があります。
そうなると自治体から改善を求められ、それに従わなかった場合、固定資産税の軽減税率の対象から除外され、税金が高くなるリスクがあります。
相続した不動産は早めに売却することでこのようなリスクを軽減することができます。
相続した不動産を売却する税制上のデメリット
相続した不動産を売却するときの注意点として、譲渡所得税等の費用がかかることが挙げられます。
その他にも、売却するとなると、登録免許税、印紙税や不動産会社へ支払う仲介手数料等の諸費用がかかります。
また、相続した不動産を売却して現金化し、その現金を相続税に充てる方法をとる場合、相続の申告納税期限は相続開始から10カ月以内と決まっているため、早期に売却する必要があります。
そうなると、場合によっては売買価格が希望や相場よりも安くなってしまうということが起こり得ます。
相続した不動産売却の流れ
相続した不動産を売却する場合、主に以下の流れで手続きします。
・相続人と相続財産を確定する
・遺産分割協議を行う
・相続登記を行う
・相続税の申告と納付を行う
・不動産会社に相続財産の査定や売却を依頼する
・買主と売買契約を締結し譲渡する
・確定申告する
ここからは、それぞれの手続きを解説します。
相続人と相続財産を確定する
不動産の相続が開始したら、亡くなった人の出生からの戸籍謄本をすべて取り寄せたり、遺言書の有無等を確認したりして相続人と相続財産を確定します。
遺産分割協議を行う
相続人間で遺産分割協議を行い、相続不動産を誰が、どの割合で引き受けるのか話し合います。
相続登記を行う
誰が不動産を相続するか決まったら、法務局で相続登記を行います。
このとき、相続人と被相続人の戸籍謄本や相続人の住民票や遺産分割協議書等、たくさんの書類の準備が必要です。
相続税の申告と納付を行う
相続開始日から10ヵ月以内に相続税の申告と納税をしなければなりません。
納付期限を超えると延滞税がかかるので注意しましょう。
不動産会社に相続財産の査定や売却を依頼する
不動産会社に相続不動産の査定を依頼し、査定金額に納得できたら売却を依頼します。
相続税の申告・納付期限内に売却したい場合は、必ず事前にそのことを伝えておきましょこと
買主と売買契約を締結して譲渡する
不動産の買主が見つかったら売買契約を締結し、決済・引き渡しを実行します。
確定申告する
不動産の売却で利益を得た場合、相続人は売却を行った翌年に譲渡所得として確定申告を行います。
譲渡所得は、売却で得た収入から取得費と譲渡費用を差し引くことで求められ、これがプラスになった場合は確定申告が必要となります。
相続した不動産を売却するときの注意点
相続した不動産を売却する場合、以下の2点に注意が必要です。
・相続登記を必ず行う
・共有名義の場合は共有者の同意が必要
ここからは、それぞれの注意点について詳しく解説します。
相続登記を必ず行う
相続した不動産を売却する場合は、必ず相続登記が必要です。
相続登記を行わずに直接買主に所有権移転登記をすることができません。
不動産の売却予定がずっと先であっても、なるべく早めに相続登記を行っておくことをお勧めします。例えば、相続した不動産が共有状態の場合で、さらに相続が発生したりすると、権利関係が複雑になってしまいます。そうなると、いざ売却となった際にスムーズに手続きが進まない可能性があります。
また、2024年4月1日より相続登記の義務化していまs。
正当な理由なく相続開始から3年以内に相続登記を行わない場合は、10万円以下の科料が課せられることになります。
共有名義の場合は共有者の同意が必要
相続した不動産が複数の共有名義であった場合、売却するには他の共有者全員の同意が必要です。
また、売却すること自体だけでなく売却価格に関しても共有者全員の同意を得る必要があります。
売却の手続きをスムーズに進めるためにも、あらかじめ共有者全員で売却や価格について話し合っておくのが良いでしょう。
まとめ
相続した不動産を売却すると、譲渡所得税等の税金がかかりますが、特例や控除制度があるため大幅に節税できる可能性があります。
ただ、特例を利用できる期限が決まっていることや、特例を併用できないケースがある点には注意が必要です。
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