NISA口座を相続したらどうすればいい?手続きの流れやポイントを徹底解説!

法律

こんにちは。さきです。
今回は、NISA口座の相続についてお話します!

2024年以降、新NISAが始まったこともあり、NISAの利用者は年々増加しています。
そのような中で、「もしNISA口座を持ったまま亡くなったらどのような手続きをとればいいの?」と疑問に思う方はいるかと思います。

この記事では、NISA口座の相続手続きや相続税評価額の算出方法、相続時のポイントを詳しく解説するのでぜひ参考にしてください!

NISAとは?

NISAとは、少額から投資を行えて、得られる利益が非課税になる制度です。
この制度に基づいて開設する証券口座をNISA口座といいます。

例えば、一般口座や特定口座で株式や投資信託を売却した場合、その売却益には約20%の税金がかかります。一方、NISA口座の場合、売却益に税金がかかりません。

例えば、投資商品を保有するときに利用する口座で、特定口座があります。
仮に、特定口座で100万円で金融商品を購入し、その商品が150万円になったタイミングで売却した場合、売却益50万円に約20%課税されるため、手元に入るのは40万円です。
一方、NISA口座では課税されないため、50万円が丸々手元に入ることになります。

NISAは、国民の安定的な資産形成を後押しする目的で、国が設けた少額投資非課税制度です。

NISA口座の相続手続きの流れ

NISA口座の相続が発生した場合、以下の流れで手続きします。

① 亡くなったことを金融機関に連絡し、亡くなった人の残高証明書や、相続手続きに必要な書類
  を取り寄せる。なお、残高証明書を取り寄せる際は、金融機関に以下の書類の提出が必要。

 ・残高証明書発行依頼書(金融機関所定)
 ・亡くなった人の死亡記載が入った戸籍謄本
  ・残高証明書を請求する人の戸籍謄本
  ・残高証明書を請求する人の実印と印鑑証明書

② 残高証明書から、亡くなった人が保有していた株式などの投資商品や数量などを確認する。

③ 金融機関の指示に従って、次の手続きに必要な書類を準備する。

 ・相続手続き依頼書(金融機関所定)
 ・非課税口座開設者死亡届出書(金融機関所定)
 ・亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本
 ・相続人全員の戸籍謄本
 ・相続人全員の印鑑証明書
 ・ある場合は、遺言書または遺産分割協議書の写し

④ 遺産分割協議で相続人や相続割合を決める(遺言書がある場合は内容に従う)。

⑤ 相続人は、亡くなった人と同じ金融機関に口座を開設する。

⑥ 必要書類を持参して金融機関で手続きを行う。

書類に不備がなければ、2~3週間後に相続人の口座に移管されて、手続き完了です。

NISA口座の金融商品の相続税評価額の算出方法

相続税評価額とは、相続税を計算するときの基準となる金額です。

ただ、株式などは短時間で大きく変動してしまうことがあります。そこで、NISA口座の中にある株式などの金融商品の相続税評価額は、以下の4つの中で最も低い金額を選択することになります。

① 相続発生日の終値
② 相続発生日の当月の終値の月平均額
③ 相続発生日の前月の終値の月平均額
④ 相続発生日の前々月の終値の月平均額
 ※相続発生日:被相続人が亡くなった日

終値とは、1日のうちで最後に成立した売買価格のことです。
つまり、②~④は、その月のすべての終値の平均値をもとに計算することになります。

仮に2024年4月20日にNISA口座の名義人が亡くなった事例で考えてみましょう。

①相続発生日の終値が最小値の場合は、2024年4月20日の最後に取引が成立した価格が相続税評価額
 となります。

②相続発生日の当月の終値の月平均額の場合は、4月の毎日の終値を平均した金額が相続税評価額
 となります。

③相続発生日の前月の終値の月平均額の場合は、2024年3月の終値で計算することになり、
 2024年3月の毎日の終値を平均した金額が相続税評価額となります。

④相続発生日の前々月の終値の月平均額の場合は、2024年2月の毎日の終値を平均した金額が相続税評
 価額となります。

NISA口座を相続するときのポイント

NISA口座の場合、通常の銀行預金の相続とは異なる特徴があります。ここからは、知っておくべき大事なポイントを3つ紹介します。

亡くなった人の株式や投資信託はNISA口座に移管できない

亡くなった人のNISA口座の金融商品は、相続人のNISA口座に移管できません

亡くなった人の株式や投資信託を引き継ぐには、相続人が亡くなった人と同じ金融機関で一般口座や特定口座を開設し、そこに移管する必要があります。

仮に相続人がNISA口座を持っていても、相続した金融商品をそのままNISA口座に移して、NISAの適用を受け続けることはできません。

つまり、相続発生後に生じた配当金や分配金に対しては税金がかかることになります。

相続発生時までに発生した含み益には税金がかからない

相続が発生するまでの含み益には税金がかかりません。

NISAの非課税制度は口座名義人が亡くなるまで続くため、相続が発生するまでの株式などの運用益に対しては非課税となります。

つまり、亡くなった人が投資商品を購入する際にかかった取得価格より、相続発生時の時価の方が大きい場合、その差額には税金がかからないことになります。

投資商品を相続するときの取得金額が相続発生時の時価となる

通常の口座の相続では、亡くなった人が株式や投資商品を取得した際の価格が相続人に引き継がれます。一方、NISA口座の場合は、相続発生日の時価が相続人の取得価格となります。

以下の事例で考えてみましょう。
・Aさんが2023年4月1日に1株1,000円の株式を100株購入
・Aさんが2024年1月10日に死亡
・2024年1月10日時点の株価は1株2,000円

通常の口座では、相続人の取得価格は、Aさんが株式を購入した2023年4月1日の1株1,000円です。
仮に、相続人が1株2,000円で100株を売却した場合(2,000円-1,000円)×100株で、10万円の利益に課税されることになります。

一方、NISA口座では、相続人の取得価格は、Aさんが亡くなった2024年1月10日の1株2,000円です。
つまり、相続人が1株2,000円で売却したところで、相続人の取得価格は1株2,000円なので利益はゼロとなり、課税もされません。

まとめ

NISA口座の相続は、通常の口座と異なるため、相続人はよく理解しておく必要があります。
また、いろんな書類を集めたり、新たに口座を開設したりする必要があり、少し大変かもしれません。

相続が発生したけどなかなか時間がとれない、何から手をつけてよいのかわからない、という場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することで、スムーズに手続きを進めることができるでしょう。

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